妊婦が行方不明になった夫をコルカタで探す物語。

CamScanner 03-24-2022 20.56_1


夫のことを調べれば調べるほど、夫のことがわからなくなっていく…緊迫感が続き、一気に見てしまう作品。

コルカタの安宿について語りたい

コルカタの安宿の雰囲気や街の喧騒がとてもいい感じの作品です。
主人公ヴィディヤは「こんなところに夫が泊まっているわけがないでしょう!」とお怒りですが
たてつけの悪そうな窓や、イルミネーションでド派手に飾られたエントランス、ボロボロノートの台帳(だいたいあの紙はしっとりしてますよね)、押し入れみたいなエレベーター…大都会の安宿の雰囲気がよく出てて楽しい。



「お湯が出ない」というと、年端も行かない少年がお湯を沸かして持ってきてくれるのもインドあるあるですね。

12年前にコルカタを訪れたときは、同じ電車に乗っていた日本人のススメで「パラゴン」という伝説の日本人宿に泊まりました。
ここで生まれて初めて南京虫つきベッドを体験、100か所以上を刺されました。
パラゴンでは「お湯は明日から出る」と言われたなぁ...。

上質なサスペンス

閑話休題。

踊りもミュージカルシーンもなく、すべてのセリフがきちんと伏線になっていく、非常によく練られた脚本でした。
1度見てからもう1度見ると、同じセリフが全く違った意味を持ってくるのも素晴らしいです。
特に「あなたはいいお母さんになるでしょうね」というセリフは、この作品で最も素晴らしいセリフです。

産後すぐに見ました
臨月の記憶も真新しい時期に見たせいか、妊婦さんのディティールが素晴らしいなと感じました。
歩き方や姿勢、口にするものなど、非常に自然に描かれています。
一方で仰向けに寝転がるシーンなど、細かな違和感も残しています。
というか、臨月であんなに歩けるというところにすさまじい違和感があるのですが、そこはまず作品を見てほしいところ。

ナワーズッディーン・シッディーキー
人の感情の機微を読み取れない(読み取らない)役の多いナワ様、今回もそんな感じの警官役。
かなり存在感のある役者さんですが、このお話ではあえて脇役に徹しているのが良いですね。